◆状態◆
目立つようなキズやカケ等ありません。
◆商品説明◆
オランダを代表する窯「ローゼンブルク(ローゼンブルフと表記する場合もあります)」のカップ&ソーサーです。
独特の形状のカップとソーサーが印象的です。
以前当店で同じ図柄のカップを扱いましたが、今回も同じ図柄のものに出会うことができました。
同じ図柄ですが、絵付師が1つ1つ丁寧に絵付けするので微妙に異なっており鳥の表情も違って見えます。
ローゼンブルクは、オランダの至宝と言っても過言ではない稀少性溢れる作品です。
ローゼンブルク窯の歴史を紐解くと、1883年〜1917年という非常に短い期間しか存在しておりませんでした。
それ故に現存する作品数は少ない事がお分かりになると思います。
ローゼンブルク窯は、オランダのデン・ハーグにて創業されました。1877年の美術産業博覧会を機にオランダでは新しいスタイルを模索しローゼンブルク窯が誕生しました。
稀少性が高い特徴の2つ目として、極限までの薄い作りのエッグシェル磁器という点が挙げられます。この独特な「エッグシェル」は、試行錯誤を繰り返しながら焼成に成功し1900年の万博で高い評価を受けました。
しかしながら、このエッグシェル磁器はその薄さと形状ゆえに制作にコストがかかり窯の経営が傾く結果を招きました。ローゼンブルクの繁栄は、非常に短い期間で閉窯になったのです。
本品は、ローゼンブルク窯を代表する絵付師シェリング(Schelink S)を師としたT Hart C.W.J作のものだと思われます。ローゼンブルク最終期である1914年に制作された事が刻印から読み取れます。
ローゼンブルクを代表する絵付師シェリングは、植物、鳥、昆虫のモチーフを得意としその子弟であるT Hartも同じモチーフを描いております。
点画のような独特の絵付け技法で、繊細かつ大胆に表現するスタイルは、他の窯では見られない絵付けです。
この素晴らしい磁器は、現存数が少なくその多くはアムステルダム国立美術館に所蔵されています。
本品は、カップ本体にすみれ色の花(クレマチス?)をリズミカルに配しています。
ソーサーには、美しい鳥が植物の枝にとまる様を描いております。
美しい翼を広げた鳥の絵付けは、細かく細い線で鳥の脚を描くことにより躍動感を感じ取ることが出来ます。
繊細な絵付けと独特の植物が、曲線で表現された構図は、正に「新しい芸術」意味するアール・ヌーボーと言えます。
しかしながら、このようなスタイルを展開しているのはヨーロッパ広しと言えこのローゼンブルクのみであることから目の肥えた欧州の人々を魅了したに違いありません。
長い年月を経た今も、生命力と躍動感を存分に感じられる素晴らしいカップです。
稀少性の高い名品をお探しの方に、是非ともおすすめしたい作品です。